ご予約専用フリーダイヤル
0120-556-240

菅野所長のエッセイ:雨の木曜日

 あいかわらず気分は低空飛行なのだが、木曜に前からの計画で友人とゴルフに行ってすこし良くなった感じがする。もっとも一日中雨でコンディションは悪かったのだが、僕の場合は暑いよりマシなのである。

 で、朝早かったので、あっという間に終わり、帰るとまだ午後の3時くらい。たっぷりと自由な時間があったので、これ幸いと、ぎっくり腰で観られなかった「アメリカンスナイパー」をケーブルで鑑賞。うーむ、さすがイーストウッド。なかなかいい出来だと思う。本人が出演しない映画では一番ではないか。

 アメリカではこれを反戦映画と受け取った向きがあり、アカデミーを取れなかったのもそのためだと聞いていたが、まったくそういうものではない。イーストウッドはそんな安っぽいものは作らないぜ。「ディアハンター」とも違うし。

 どこかにこういう人はいるはずだと思うが、身近にはいない、つまりどこにもいないように思えるが、でも確実にいる、「グラントリノ」しかり、クリント・イーストウッドの描くのはいつもそんな人物ではないのか。映画を見終わって、しばし余韻にボーっとして後に、僕が考えたのはそういうことだった。 もっとも主人公クリス・ケイルは実在の人物にしてアメリカの英雄なのだが。

 まあそういうわけで、木曜日はなかなかいい日だったな。最近では珍しく。

 ツール・ド・フランスは、第3,第4ステージと見応え十分だった。最後にユイの壁を駆け上がる第3は、山岳のスペシャリスト、ホアキン・ロドリゲスが制したが、これに「4強」でついていけたのは2年前の総合優勝者フルームだけで、ニバリ、コンタドール、ヴァンベルデは案外だった。去年は落車による無念のリタイアだったフルームの今回の仕上がりは抜群のようで、このまま早々と勝ちを手中にしてしまうかもしれない。

 ジロを制し、今年の3冠を宣言しているコンタドールは、今回は強力なアシスト陣がいるにもかかわらず、今のところなりを潜めている。やはり、グランツールを続けて出場する(ダブルツール)というのは肉体的に相当きついらしい。一方、ニバリは、石畳コースで何と2回も先頭に立つという前回チャンピオンらしからぬ素敵なことをしてくれたが、今回、アスタナのアシスト陣はもうひとつのようなので、優勝は無理のような気がする。ジロで大活躍したランダがいないし。

 さて、2位入線ではあったが、フルームのすごさに驚いた翌日、第4ステージではクイックステップのトニー・マルティンの大逃げを観たいと言っていた。そうしたら、石畳の悪路が終わってからの残り5キロくらいからアタックをかまし、そのまま見事にマルティンが逃げ切った。これでフルームからマイヨジョンヌを奪い返したのはよかったのだが、気の毒なことに、第6ステージでは残り1,4キロで落車トラブルに遭い、チームメイトに抱えられながらの痛々しいゴール。たぶん、かなりの痛手なので、彼のツールはこれで終わったのではないかと思う。残念だ。映像で観る限り、あのトラブルはティンコフ・サクソの選手が右に大きくよれたせいだと思うぞ。

 それにしても今回は第3ステージでは中盤の平坦道で50人規模の大落車事故があり、これには2日目までマイヨジョンヌのカンチェラーラが巻き込まれた。これにより、レースが中断されたのである。自転車レースでは、落車事故でレースが止められるというのは通常あり得ないらしい。で、もはやヨレヨレになったカンチェラーラが集団に追いついたあたりで再開された。あの状態で完走したカンチェラーラは立派だった。

 そしてまたトニー・マルティンの場合といい、トップ選手に悲惨な状況が続く。これも自転車レースの定めなのだが、できればみながケガなく最後まで走ってくれないかと、競馬での障害レースを観るような気持ちだ。とにかく、いまの自分にはツールだけが楽しみなのでね。

最初に戻る