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菅野所長のエッセイ:システムと個

今週はわりと平穏かな。何しろ涼しいのがいい。こんな7月は近年なかったのではないか。とくに何があるというわけではないが、気候に助けられてるなあ。
ツール・ド・フランスがこの間から始まっているが、今回は少し予習がたりないので、観戦に苦しんでいる。とにかくチームが入れ替わり、選手も移籍し、ユニフォームも目新しい。現時点での総合順位ベストテンには、見知った名前は半分ほどだ。どうも今年は登りが多くて、クライマーの中からマイヨジョンヌが出る可能性もあるらしい。ので、クイックステップのアラフィリップを推す声が高い。今は総合2位につけている。つまり、レースとしては面白いはずだ。

NBA八村の活躍ぶりがなかなか。大学であれほどやれてたから、通用するのは間違いないとは思っていたが、たぶん日本人としての細やかで奉仕的な傾向も相当生かされているのだろう。

これがテニスの大坂なおみとなると、日本人的なところはほぼないので格下にも簡単に負ける。一言で言えば雑。まあこちらは個人競技だからそれでいいという部分もある。
男子の錦織は、あいかわらずフェデラー、ナダル、ジョコビッチのベスト3にはまるで歯が立たない。今年の全仏、錦織はかつてないほど絶好調だった。それでも勝ち進んで彼らに当たると勝てない。先日もそうだ。あまりにもはっきりとした壁がそこにある。あとは他が怪我をして不出場のときに、運が良ければ、準決、決勝にいけるかだな。それも今年中じゃないとだめだろう。一度だけ全英でベスト8まで行った松岡なんかと違って、日本の男子テニスで史上最高の選手なんだけどね。何とも虚しい。結局、そこまでの選手。しかし、錦織の存在があってこそ、後続からもっとすごい選手が出てくる。彼なしではそうはならない。
そのためにはいわゆる裾野の広さが必須だ。なでしこ、女子サッカーの衰退を見ているとそのへんがどうなのかなと思う。監督の選手起用や戦術はもとよりダメダメだなあと思うが、それよりもかつては、協会はサッカー経験にこだわらずに人材を発掘していた時期があったはずだが、あれはどうなったのだ。あれから8年も経つのに、澤、宮間、川島以上の選手は現れない。これは相当にひどいシステムにとらわれているということだな。
ということで、「さよなら 私のクラマー」という女子高校生のサッカーマンガを観てると、「あたしたちには日本の女子サッカーの未来がかかっている!」という発言がある。この作品には、登場人物にそう言わせる作者の並々ならぬ情熱を感じてしまう。たぶん、そのサッカー観も現状の監督やコーチよりも上質な感じだ。
スポーツの世界で指導者として頂点にいる者たちは、政治的な勝者であるにしても、抜きんでて優れているからそこにいるとは限らない。そういった非生産的なシステムや構造の中から、それを打ち破る個の出現が必要なのだがね。

 

普通の仕事でもそうだね。馬車馬のように働く人間が一人いれば、それだけですべてが変わっていくこともある。

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