明日から出張で名古屋のほうに行ってきますので、今週は今日でおしまいです。
凱旋門賞の前哨戦GⅠフォア賞でオルフェーブルが楽勝し、同じくニエル賞ではキズナが接戦を制した。すごいことだ。これでオルフェーブルは一番人気になる可能性が大となった。人気はともかく、日本馬の凱旋門賞制覇がまたもや期待できる運びとなった。が、あんまり期待しすぎるとよくないよな。昨年よりもレベルがかなり高いしね。
とは言っても、オルフェの楽勝ぶりを観てしまうと期待しないではいられない。去年よりも調子がよさそうだ。キズナも高レベルのニエル賞をよく勝った。こうなると、日本馬のワンツーだって十分に考えられる。
キズナは、その名前からか、なかなか人気があるらしい。僕の友人の妻と息子が、それぞれ単独で、キズナの勝った日本ダービーを観戦しに行ったという。競馬などほとんど知らないのに、なぜかその日だけはそういうことをしたと聞いてちょっとびっくり。競馬を知らない人に競馬場に足を運ばせるなんて、なんてすごいことだろう。ハイセイコー、オグリキャップ、ディープインパクトくらいだからね。
とにかく、死ぬまでに観てみたいことのひとつがいよいよ実現するかもしれないのである。10月6日が待ち遠しい。
もうひとつの願望は「ワンピース」の最終巻を読むことなのだが、こちらは単に長生きさえすれば実現するだろう。しかし、この漫画は本当に良くできている。近いところでは魚人島編が印象的なのだが、作者尾田栄一郎の差別のとらえ方がなかなか鋭い。
魚人の住む島、魚人島には、人間を憎み、人間を下等な生き物と逆差別するグループがある。これに対して人間と友好的にやっていきたいのが国王派である。
人間を異様なまでに憎むグループは反乱を起こし、国王派は為す術がないのだが、代わりに麦わらの一味がこれを鎮圧する。ちなみに麦わらの一味は、シャボンディ諸島では、人間から差別を受ける魚人を救け、人間の最高貴族である天竜人を殴り倒すという大事件を起こしてもいる。麦わらの一味には差別意識というものがなく、きわめてソフィスケイテッドされた集団なのだ。
この闘いの最中、国王派の王子が反乱グループのリーダーに訊く。
「人間がおまえにいったい何をしたのだ!?」
この問いに、首領ホーディ・ジョーンズは無表情にこう答える。
「何も」
さて、小さなコマなのだが、このシーンはひじょうに興味深い。ひょっとしたら、多くの人は、何もされていないのに、つまり根拠もないのに人間を憎むということを、反乱グループの異常さに帰結させてしまうのかもしれない。わからないけど。
そうではなくて、差別の本質とはまさにそういうものではないのか。そこには論理的な根拠などなく、差別する側とされる側という彼我の関係を創り出し、それによって自分が優位な存在となること、そして、それ自体が目的化される人間の心のはたらきがあるということだ。近年、ネットなどで差別をあおる連中というのも、ホーディ・ジョーンズとまったく同じように見える。そのあたりをもさらっと描き切ってしまうこの漫画は、誰もたどり着けなかった場所に向かって疾走を続けるのである。