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菅野所長のエッセイ:予測と期待

 ユーロがあったおかげで生活習慣が破綻したなあ。準々決勝あたりからは、夜中の3時半に放送なんだもの。しかし、ちゃんと観られたのは1試合くらいのもので、起きてた甲斐もあまりなかった。スペイン強すぎ。イタリアも前半は内容的にひけを取らなかったが、何しろチーム全体が満身創痍、後半は負傷退場も出てスペインのなすがままだった。ま、しかし、これで夜更かしはあまりしないですむ。

 ところで、3時半まで起きているというのも実に大変。3時半まで寝とくとか、そういう器用なことはまったくできないので苦しい。そこで目をつけたのが、ケーブル放送のオンデマンド。確かちょっと評判と聞いたドラマ「リーガルハイ」を初回から観賞。空いた時間はこれで過ごす。堺雅人演じるヘンな弁護士が主人公なのだが、これがなかなか面白くて、ユーロよりもこっちかなと。映画「南極料理人」とか「武士の家計簿」とかで、達者な役者であることは知っていたが、この「リーガルハイ」ではさらに真骨頂を見せている。まあ、「怪演」という最大級の誉め言葉に近づいているんじゃないかと。

 しかし、他の役者がかわいそうかな、実力の差がはっきり、引き立て役にもなりゃしない。1時間のドラマを独りで成立させているわけで、そこにまるで問題もない。こういう俳優は久しくいなかったのではなかろうか。つまりこれこそプロだと。堺雅人に比べたら多くの役者はアマチュアなんだなあとも思う。

 けれどもあえて言いたいと思うのは、役者ならばみなこれくらいのことはできなくてどうする? である。ちょっと厳しいかなあ。でも、臨床心理士もそうだが、専門職とは言っても、プロと言える人はどれくらいいるのかと。どんな世界でもそうだが、とくに自分の業界に懐疑的な僕としては、このドラマからそんなことをつい思ったのだった。

 が、見てる間はとにかく堺雅人の演技を楽しんだ。全体としては「家政婦のミタ」のほうが面白かったけどね。とくに最終回のオチは、コメディとはいえひどかった。

 これを同じく観てた人に話したら、わたしはそうでもなかったと言う。ほう、何でかなと思ったが、どうも途中で、そんなようなオチなのではないかと思っていたということだ。なるほど、そういう違いなのか。つまり、そこに予測があるかどうか、どういう予測が立っているかで受けとめ方は違ってくるものだ。この予測は「期待」ということでもある。つまり、僕はもっと違う結末を期待していたわけでそれが外れたのでガッカリしてしまったわけだ。ところが、このドラマはおふざけだからとおおかたで受け取っている人は、僕のような期待はしないのだろう。僕からすれば、これってどうなの?と思うことでも静かに受けとめることができる。
 うーむ、ドラマごときにちょっと熱くなりすぎたのかな。ということは、やはり堺雅人恐るべしと言うべきなのか?

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