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菅野所長のエッセイ:賞の行方

今週も忙しかったな。でも、今日で終わりだ。
強力な台風が来ているので、休みは外出を控え引きこもることにしよう。この10年で4番目にすごいらしいし。各地の被害が心配だ。

 先週の月曜は台風も午前中には去ったので、気力を出して映画を観に行った。クリントイーストウッドの新作「ジャージーボーイズ」。
 観る前は懸念していたが、やはりイーストウッドは上手い! 90%エンターテインメント。こうした映画は初めてのはずだが、さすがの巨匠ぶりである。音楽と言うだけならジャズ映画の「バード」があったけど、あれはほとんど記録映画のようなできあがりだったし。

 音楽映画だが、ミュージカルというのではない。この手のものでは、近年では「バーレスク」が一番よかったが、はるかに越えている。つまり、ハリウッドの音楽映画としては最高だろう。フレッド・アステアあたりのほうが良かったという人もいるかもしれないけどね。

 ハリウッド以外だと、同じく貧しい若者がバンドをやっていくという設定で始まる、アラン・パーカー「コミットメンツ」があり、こちらのほうが映画としては上質と思うが、「ジャージーボーイズ」は最初からエンターテインメントとして作ろうという意図があるからね。比較してもいけない。

 ちょっとウッディ・アレン的な演出が入ったり、ラストは北野武そのものである。しかも、途中には主人公たちが見ているTVドラマが「ローハイド」で、20歳の頃のイーストウッドが出てくるという茶目っ気ぶり。それから、「タモリ倶楽部」好きには大うけな曲も出てくるしね。楽しいことこの上ない。

 何より僕が感心したのは、地元ギャングのボスにクリストファー・ウォーケンを起用したことだ。彼が登場するたびに、何か残酷なことが起きるんではないかという予感がしてくるのだが、まったくそうではない。そういうギャップを見事に演じるのは彼しかなかったと思わせる。ジョン・ボイドじゃダメなわけね、

 アカデミーでも何らかの賞は取るのかなあ。まあ、そんなものでこの映画の価値がはかれるものではないからいいし、すでに作品賞も監督賞も取ってるし。ああ、でも監督賞はぴったりだ。

 賞といえば、ノーベル賞。下馬評では、文学賞に村上春樹、平和賞に憲法9条とか最有力なんて言われてたが、見事にずっこけ。
 まあ、村上春樹にかんしては、僕は昔からまったく評価していないのでどうでもいいのだが、9条のほうは実現したら画期的なことだなと思っていた。この10年くらいで、世界では40種だかの生物が絶滅したという。9条も絶滅危惧種と同じだからな。9条を世界遺産にというのも前からあったけれども、それよりもノーベル賞を取れば絶滅を免れるんじゃないかとも期待したのだが。

 このふたつが落選して誰より胸をなで下ろしたのは安倍政権の面々である。軍拡政策、原発再稼働の天敵だからね。僕はそういう意味では少しがっかりしている。来年以降では時宜を外してしまうしなあ。そういえば、パキスタンのあの少女の平和賞に異論はないが、今なら香港のデモ隊にでも贈ってあげたいものだ。

 

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